CentOS終了後の道筋を示した国産Linuxの世界合流とは

ニュースの概要

サイバートラストが、CentOS終了後の日本のインフラを支えた国産Linuxの取り組みを振り返っている。無償で使えたCentOSが従来の形での提供を終えたことで、国内の企業や自治体は、サーバーOSの移行先探しを迫られた。そこで同社は、国産のLinuxを世界の開発の流れに合流させ、国内の現場が安心して使い続けられる選択肢を整えてきたという。単に代わりのOSを出すのではなく、世界のコミュニティと歩調を合わせ、長期の保守体制を日本語で受けられる形に整えた点が要点である。日本のインフラが抱えた危機感と、その解決に至るまでの舞台裏が語られている。

引用元: CentOS 後継は?日本のインフラ危機を救った、国産 Linux 世界合流の裏側(サイバートラスト)

分析・見解

CentOS終了が日本の現場に与えた衝撃の大きさ

CentOSは、有償のRHEL(=商用の企業向けLinux)とほぼ同じ動きをする無償OSとして、長く使われてきた。費用をかけずに安定した基盤を作れるため、中小企業から大規模な業務システムまで広く浸透していた。

ところが提供形態が変わり、従来のCentOS 7や8系のように「長く同じ版を使い続ける」前提が崩れた。サーバーは一度入れたら五年、十年と動かす。だからOSの寿命が短くなることは、運用計画そのものを壊す。日本は特に、止められない基幹システムを多く抱えており、影響が大きかった。

後継の選択肢が乱立した三つの理由

終了を受けて、AlmaLinuxやRocky Linuxなど複数の互換OSが登場した。選択肢が増えたのは良いことに見える。しかし現場の担当者にとっては、どれを選ぶべきか判断する材料が足りないという新しい悩みが生まれた。

理由は三つある。第一に、どの団体が十年先まで続くか読みにくい。第二に、不具合が出たときに日本語で相談できる窓口があるとは限らない。第三に、社内の稟議(=上司や経理の承認)を通すには、サポート契約の有無が問われる。無償のOSは自己責任になりがちで、ここで足が止まる企業が多かった。

国産Linuxが世界の流れに合流した意味

国産Linuxと聞くと、日本だけで閉じた独自のOSを想像しやすい。だが今回の核心は逆である。世界の開発コミュニティと同じ部品、同じ更新の流れを共有しながら、日本の利用者向けにサポートと検証を上乗せする形だ。

独自路線の国産OSは、ソフトの対応が遅れ、孤立しやすい。世界と同じ土台に乗れば、海外製のソフトもそのまま動く。そのうえで、国内のセキュリティ要件や長期保守の期待に応える。ここに、他の互換OSとの違いがある。比べるなら、携帯電話で世界共通の規格に乗りつつ、国内の通信事情に合わせた機種を出すのに近い。

見落とされがちな視点としての供給網の安全

もう一つ重要なのが、ソフトの出どころを確かめられるかどうかだ。近年は、部品の混入を狙った攻撃が増えている。OSの部品を誰が作り、誰が検証したかを説明できることは、監査や発注者への説明で効いてくる。国産で責任の所在がはっきりしていることは、性能だけでは測れない価値である。今後は、費用の安さより、説明のしやすさが選定の決め手になる場面が増えるだろう。

ビジネスへの影響

まず自社サーバーの棚卸しから始める

最初にやるべきは、動いているサーバーの一覧づくりだ。OSの種類、版、設置場所、担当者、停止できる時間帯を表にまとめる。これがないと、移行の費用も期間も見積もれない。

特に、導入した担当者が退職し、誰も中身を知らないサーバーが危ない。業務に影響が小さいものから先に移行して手順を固め、基幹に近いものは後に回すのが堅実だ。一度に全部を動かそうとすると、検証が追いつかず事故の元になる。

移行先は費用より保守の条件で比べる

選ぶときは、ライセンス料の安さだけを見ないほうがよい。次の三点を比べてほしい。

・サポート期間は何年か、延長はできるか

・障害時に日本語で、何時間以内に応答があるか

・今使っているソフトが動くと確認されているか

年間の保守費は、OSの利用料より、障害で止まった時の損失のほうが大きくなることが多い。たとえば一時間の停止で数十万円の売上を失う業務なら、保守契約の価値は明らかだ。

経営層への説明資料に盛り込む要点

決裁者には、技術の細部より、リスクと費用の対比を示すと通りやすい。放置した場合の脆弱性対応の空白、移行費用、移行後の年間保守費を一枚にまとめる。供給元が国内で説明責任を負える点は、取引先への報告や監査対応でも使える材料になる。移行は期限のある投資として早めに予算化したい。

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